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講談毎日亭 三日目 探偵講談琉球ハブ娘 ~お亀の懐妊~ [講談]

R-1のこと。
ハブクラゲのこと。
小南湖の畳カリカリのこと。

さて、10月2日の昼過ぎ。
横山がお亀の家にやって来て、
「柳行李はどこだ」
と聞く。 
返答できぬお亀。
「ならばわしが聞かせてやろう。本日警察から呼び出しがあってな。柳行李にはわしの名前が書いてあったのだ。中から出て来たのが、博多小僧。お亀、密通をしていたな」
全てお見通し。
お亀も事の次第を物語る。
「お上に訴えればお前は罪人。白状したからそれは許そう。着物を持って出て行け。お梶婆も一緒だ」
「実は血のめぐりが滞りまして。三ヶ月になります。どうやら子供が出来ましたようで」
「わしの子ならば、引き取ろう。博多小僧の子なれば……。不憫じゃのう。これは金じゃ。体を大事に丈夫な子を産めよ」
お梶婆も、
「私も血のめぐりが滞りまして。私もお金を頂きたいもので」
横山は呆れながらもお金をやる。
二人はこの家を出まして、お梶婆の生まれた太宰府に行くことにする。
「お亀さんを琉球のお姫様として、内地に学問修行にやってきたということにすれば、また良い旦那が見つかるかも分かりません。器量良しですから」
船に乗ると、千金丹売り。
これは博多小僧の子分、田中文治だ。
女二人よりも男がいた方が何かと都合が良い。
三人で一緒に行くことにする。

お亀とお梶婆は天満宮の門前にある大野屋という宿屋に泊る。
ここに泊まっていたのが、佐賀の大金持ち神山伝蔵。二十八歳。独り者。好色漢。
手代の善兵衛。これは老人。
それからお供の久八。三人連れ。
石燈籠を奉納に参った。
10月24日のことです。

神山はお亀と一緒に食事を致し、その美しき姿に惚れた。
「生き弁天のようだ。お亀さん、内地の言葉が上手じゃな。本当に琉球の方か」
「はい」
「好きな物は?」
「シークワーサーにサーターアンダギー」
「嫌いな物は?」
「米軍基地」
「琉球の方に相違ない」

その晩、神山は神経の狂いか、不思議なことに枕元に菅原道真公が立って
「幾代まで契る者かは白波の月影寒き鴛鴦(おし)の剣羽」
という歌を詠んだ。

果たしてその意味は?
続きは明日。

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