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講談毎日亭 二日目 探偵講談琉球ハブ娘 ~柳行李の死骸~  [講談]

雪が降って幸せを感じること。

さて、博多小僧はどうしてお亀が鹿児島にいるのか不思議に思った。
そこでどこに住んでいるか様子を探る。
「横山別宅」と表札が掛かっている立派な二階家。
婆さんと二人暮らし。

横山の留守中にお亀を訪ねる。
お亀は博多小僧菊次に、神武天皇祭の時に、
知り合いの水夫を雇って、狂言仕組んで、横山と馴染みになったことなどを話す。
二人は廓で夫婦の約束をした仲ですから、
焼け木杭に火が点いた。
博多小僧は、婆さんに小遣いを渡して、横山の留守中にチョイチョイと忍んで行く。
横山が種子島へ出張。

「町内で知らぬは旦那ばかり」という川柳がございますが、
こうなると、お亀の家に居続け。

二十日程して、夜、突然横山が帰って来る。
二階の部屋で慌てるお亀と博多小僧。
博多小僧をとりあえず、押し入れに隠して、
横山には酒でも飲ませ、本宅へ帰すつもり。

横山はビールを飲むと、お亀の膝を枕にして眠った。
酔うては枕す美人の膝。

二階の博多小僧は退屈だ。
「俺は檻と押入れが嫌いなんだ」
ゴソゴソすると、徳利がある。
中には沖縄名産泡盛。
これを飲む。

下では横山がグーグーと高いびき。
すると、上からもグーグーと大きないびきが聞こえるから、お亀は気が気でない。
目が覚めた横山に、
「どうかご本宅へお帰り下さいまし。奥さんが心配しているに違いございません」

横山は本宅へ帰る。

お亀と婆が二階へ上がって、押し入れのふすまを開けると、
くの字型に折れ曲がった博多小僧がドサッと倒れた。
顔が真っ青。
息をしていないようだ。
横にある泡盛を見て、驚いたお亀。
この中にハブの毒が入っていて、これを飲んだ者は体が痺れたり、気を失ったりする。
飲み過ぎたのだろう。

婆さんが、
「どうしてそんな痺れ薬を持っていたんだ。まさか私に飲ませるつもりで」
「そうじゃないよ。横山に飲ませて金を奪うつもりだった。大切な菊さんが死んでしまった」
「仕方がないねえ。諦めなさいよ」
「諦めました」

そこで、婆さんが柳行李に博多小僧を入れて、背負い、海へ捨ててくることになった。
夜中、港までやって来ると、警官の足音。
荷物を置いて、植木の後ろに隠れる。
警官は行ってしまう。続いて、二人連れ。
大川勘十郎と、田中文治。
「親分は今頃、チンチンかもかも、お亀と仲良く酒を飲んでいるんだろうなあ。犬の歩けば棒に当たる。良い物を見つけた。荷物が忘れてある」
大川がこれを背負って持ち帰ろうとする。
婆さんが慌てているところへ、先程の警官が戻って来て、
「怪しい二人。そこ動くな」
逃げる田中はそのままどこかへ逐電した。
大川は荷物を捨てて逃げればいいのですが、欲がありますから、背負ったまま。
やがて応援の警官が三人。
大川はグルッと取り囲まれ、警察署へ連行される。
これを見た婆さん。
「う~ん。まあいいか」
と家へ戻ってしまう。

警察署で、
「やい。この荷物は誰のものだ」
「あっしの物で」
「中身は何だ」
「えーっと、何でしょうかねえ」
「その方の荷物だろう。知らんのか。まあいい。開けてみよう」
開けると、人間がくたばっておりますから、
「やや。これは死骸か。お前の荷物か」
「いえいえ。あっしの物ではございません。やあ、親分。親分じゃあございませんか。親分が死んでしまった」

医者がやって来て調べると、
実は死んでおりませんでして、痺れ薬で気を失っていただけでした。
博多小僧は痺れながらも、目を開けると、
「やあ、大川。何を泣いておる」
「親分。生き返ったんで。親分。ああ、良かった良かった」
「ここはどこだ」
「警察署で」
「良くないじゃないか」

お亀と婆さんは心配で眠れません。
翌朝、お亀のところへ横山がやって来て、
「柳行李があったはずだ。あれを出してくれ」

さあ、お亀の運命や如何に。
続きは明日。

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